木材から写真パネルを作る
縦長の写真が並んでたらかっこよくない?
そんな思いつきが事の始まりでした。
東京大学写真文化会に入って2年間、一度も写真展に作品を出したことがなかったのですが、前回の五月祭でようやく「作品を出す」という目標を達成しました。
今回の駒場祭では「展示でやりたいことをちゃんとやる」が目標です。
展示方法について考え、縦横比と印刷用紙を決め、そして厚いパネルに貼ろう、となりました。
パネルの作成方法を検索していた時に見つけた、印刷面をサイドにも巻き込んだやつがとっても良さそう!
そうなると木製パネルかな? というところですが、変な縦長サイズのパネルなんて当然売っていません。
自由にサイズ指定して作ってくれる店のサイトも見つけたのですが、辺の長さに下限が決められており、紙のサイズと相談した横幅がそれより小さかったので厳しい。
厚い発泡スチロールに貼るという方法も考えたのですが、サイドにも巻き込むとなると角の強度が心配。
そんなわけで、木材を買ってパネルを自作することに決めました。
工作道具はだいたい学生会館で借りられるし何とかなるやろ。
さて、まずは木材を買います。
東急ハンズで買えばかなり自在にカットまでしてもらえます。ハンズは神。
参考にしたサイトでは左の、45度で合わせる組み方が紹介されていたのですが、斜めカットは時間もお金もかかるので、今回は右の単純な組み方にします。
意気揚々と木を持って帰宅します。
ちなみに木材を買ったのが駒場祭2日前、11/21水曜日。1か月以上前にパネル作るとこまで決めたら、まだまだ時間あるやんってそのまま準備するの忘れてまして……。
まあ、今日パネルを作って明日印刷して貼れば間に合います。パネルはボンドで貼り付けるだけだし。
さて、広くない机に新聞紙を広げ、まずは木を合わせてみます。
……君、長くない?
ハンズの店員さんの仕事は完璧なので、私がサイズ指定を間違えたのでしょう。
見れば合板に対して5mm短くなってるようです。サイドの木の厚さ分で5cm=50mm引かなきゃいけなかったのに、単純に「-5」したのでしょうね。
仮にも東大理系なのだから整数の引き算くらいできるだろうと過信していました。
ちなみにこれは伏線です。
まあ、のこぎりは学生会館で借りられます。長い分には切ればいい。
基本的に展示したときに凹凸が気になるのは両サイドになるでしょうから、そっちが綺麗ならいいのです。上下はそこそこで。
とりあえずサイドの木をボンドで合板に貼り付けるところまでします。
この状態でも貼ってしまえば下の空白は見えないの説もある。
さて、そんなわけで次の日。
やります。
最後の角の処理が下手。
5枚組+予備1枚を作るので、これを12本やります。サークルやクラスの集団がわいわいと前日準備する槌音広場で、孤独に黙々とやります。
中学の技術の授業ぶりに使ったのこぎりで切った時点では、もちろんガッタガタ。まあ、長い分にはやすりで調整して、短い分にはボンドで埋めればいいんです。
やすりで調整した後がこちら。
うん、まあ、まだガタガタだけど何とかなるやろ。
やすりで短くするの結構大変なので、気持ち短めに切ってボンドで埋めるのが正解でしたね。
駒場祭前日午前11時。ようやく材料が揃いました。
現像室に移動して貼り付け作業をします。
「ボンドで埋める」の写真です。結構いけます(下は何故か現像室にあったので重しにした『寄生獣』)。
これを6枚作って、重しを乗せて乾かしているうちに印刷と切断をします。
A3で印刷して、縦に二分しました。学生会館でカッターとカッター版を借ります。
下手くそ。
ていうか学生会館って裁断機置いてましたね。
そっち使ってみたら明らかに正解でしたね。
さて、動かせる程度にボンドが乾いたら家に帰って写真を張る作業に移ります。
ベニヤは濡らすとアクが出るそうなので、雑巾にアクがつかなくなるまで水拭きします。2回で大丈夫でした。
いよいよ写真を張ります。
水張りして(コットン素材の写真用紙+顔料インクなので可能)ガンタッカーで後ろ側を留める方法です。
側面に巻き込んだあと、後ろ側にどれくらい折り返せる余裕があるか見ておきましょう。
……?
…………??
後ろ側どころか、側面に折る分もなくない???
ところで皆さん、先ほどの伏線覚えていますか。伏してなかったですけど。
そう、あれと同じことを「印刷サイズに対する板のサイズ」に対してやっていたんですね。つまり、印刷サイズから各辺-5cmしたパネルにしなきゃいけなかったのに、-5mmしてたんですよね。
嫌になって不貞寝したいところですが、ここで不貞寝するよりはマシな選択肢があるのが人生の辛いところ。
なに、自分の尻拭いには慣れています。降年生なめんな。
パネルは今のを使い、もっと大きい紙に印刷する?
→もっと大きい紙となるとA3ノビ。今回使用したvelvet fine art paperはそのサイズになると20枚入りしかなく、渋谷の家電量販店では8,000円近くします。
紙をこのまま使い、小さいサイズのパネルを作る?
→手間と作業時間はかかるが、紙より木材のが安い。
また、紙を買うにしても木を買うにしても早くて9:30の開店を待つしかなく、昼間はシフトまみれなので、どうせ1日目には間に合いません。
となれば、またパネルを作ることにしましょう。
駒場祭当日午前1時。ふりだしに戻る。
1日目に来てくれた人に全く作品を見てもらえないのは悲しいので、応急処置として印刷範囲ギリギリで紙を裁断し、両面テープでボードに直貼りすることにしました。
加えて諸事情で1枚印刷が間に合わなかったので、本来5枚組のところ4枚しかありませんでした。1日目に来てくれた人々ごめんなさい。
全く同じ手順でパネルを作ります。ただし、棒が今度はちゃんとハンズの人が切ってくれた長さで、ピッタリすぎてはまらなくなると怖いので貼り付ける順番は変えます。
両親が私の演奏会を見に来て泊まっていたので、なんか父親が手伝ってくれました。
改めて、側面に巻いてみます。
あー、印刷の余白があれば裏に折り返せたのですが、そのまま飾るためにギリギリまで裁断したので足りなくなっちゃいましたね。
無理やりやろうとすると角が欠けました。
というわけで、裏側でガンタッカーで留めるのは諦めて、サイドもボンドで貼ることに。上下はギリ余裕があったのでガンタッカーで留めました。
角は折って、比較的視界に入りにくい上下の面に折り返します。
そんなこんなで、ともかくも完成!!
悪くない。
ちなみにちゃんと余白を残しておいて全部の辺をガンタッカーで留めた5枚目。とっても楽。
2日目の朝にこの5枚目を印刷して現像室で水張りし、ようやく展示が意図した形になりました。
展示自体は好評だったみたいでめっちゃ嬉しかったです(まあこの作品が好きと思った人だけがアンケートに名前を出すのでだいたい好評に見えるのですが……)。
特にコーチにべた褒めされて「現代美術も建築もよく分かってる」とまで言って貰ってて、コーチの目が節穴ということにならないよう現代美術と建築が分かってる人になろうと思いましたね。講評の様子の動画めっちゃループした。
あと、自分が意図したことが、いずれかの鑑賞者には必ず伝わっていて驚きました。
紙のテクスチャが最高なこととか、パネル間のボードの黒も作品の一部として見せてることとか、私が自分で部屋に飾りたいものを作ってたら同じことを書いてくれてたりとか。
見る人凄い。
もちろん反省点も色々あるのですが、大きく2つ。
- 動き出すのが遅すぎ
- 作業中に写真に擦れや汚れが付いた
1はそれはそうとして。2もけっこう作成中から気になってて、アンケートでも指摘されてしまいました。ツイートもしたけど、めっちゃしっかり見てくれてるやんありがとう……。
写真展のアンケートで私の作品について「擦れや汚れが気になった」ってあって、「わかる!! 私も気になってた!! ほんとにごめんね!!! てかめっちゃじっくり見てくれてるやんありがとう!!! 高いけどテクスチャが最高な紙選んでよかった!!!!」となりました。
— Leni (@LeniHirschfeld) 2018年11月25日
前回の写真は五月祭が終わったらびりびりに破いて遊んだのですが、今回のは自分の部屋に飾ることにしました。
次回の写真展も頑張ります。